へルパンギーナとは

ヘルパンギーナは、夏季に流行する小児の急性ウイルス性咽頭炎のことであり、発熱と口腔粘膜に現れる水疱性発疹が特徴です。ヘルパンギーナは、手足口病とともに代表的な夏かぜの一つです。同じような症状が現れる口腔疾患のヘルペス性疾患と混同しないように、ヘルパンギーナという疾患名が用いられています。


☆原因
ヘルパンギーナの主な病原は、エンテロウイルスといわれるウイルスです。特にA群コクサッキーウイルスの感染により引き起こされます。感染経路は、主に糞便からの経口感染によって引き起こされます。急性期に最もウイルスが排泄され、回復後にも2〜4週間の長期間にわたってウイルスが便から検出されます。そこから手を介してほかの食器や食物にウイルスが移ることで感染します。飛沫感染もあります。
ウイルスに感染してから発症するまでの潜伏期間は2〜4日といわれています。エンテロウイルスによる感染は、一度発症すると終生免疫を獲得します。しかし、エンテロウイルスは多くの種類に分類されるため、異なる型のウイルスによって何度もヘルパンギーナにかかることがありますので注意が必要です。


☆症状
一般的なかぜの症状(発熱に伴う頭痛や筋肉痛、嘔吐や下痢)の他に、突然の発熱、そして高熱が3日前後続きます。また口腔内に直径1〜3mm程度の水疱が数個〜10数個できます。これは発熱と同時か1日後くらいに出現します。水疱はやがて破れ痛みを伴いますが、4〜6日で自然に治ります。発熱については1〜4日間程度で下がります。
発熱時に熱性けいれんを伴うことや、口腔内の痛みのため不機嫌、食欲不振、哺乳障害、それによる脱水症などをおこすこともありますが、ほとんどは7日以内に完治します。


☆治療法

ヘルパンギーナに対する特効薬はありません。治療としては、高熱に対して解熱剤が使われたりします。のどの痛みのために十分な飲食ができず、脱水状態をおこしやすいので水分補給には気をつけてください。刺激物は避け、あまり噛まなくて良い消化の良い食物を与えてあげてください。オレンジジュースなどの柑橘類は酸味があるので避けたほうがいいです。熱くないミルク、牛乳が比較的痛みが少なく摂取できる場合もあります。



☆予防法
ヘルパンギーナの原因ウイルスであるエンテロウイルスは、主な症状から回復した後も長期間(2〜4週間)にわたって便から排泄されます。また、ウイルスが身体に入っても無症状のこともあります。エンテロウイルスは手を介してほかの食器や食物にウイルスが移ることで感染していきます。
したがって、エンテロウイルスの感染予防のためには、よく手を洗うことが最も重要です。